「美人が派手に」だけじゃない！最新KOL事情（３） 2017年「ファッション」KOLトップ10！

今やモノ・サービスの形態を問わず、マーケティングに欠かせないインフルエンサー。中国ではKOL（キー・オピニオン・リーダー）やワンホンと呼ばれます。

上海で2017年6月「2017超級紅人節」（2017年スーパーKOLの祭典）が開催されました。本編では「ファッション」KOLのトップ10と、そのなかでも注目の2名を取り上げ紹介、彼らの魅力を解説いたします！

▼中国でのKOLとの付き合い方、「グルメ」KOLのトップ3を解説します！

 【特集】「美人が派手に」だけじゃない！最新KOL事情（１）企業の目標を達成するKOLの見つけ方

【特集】「美人が派手に」だけじゃない！最新KOL事情（２）2017年「グルメ」KOLトップ10！

飾らぬふるまい、テンポよく会話。上海に実店舗まで出した「LinForeverGirl」がトップ

ファッション系KOLのライブ配信では、店長兼モデルのKOLが登場し、スタッフと会話しながら商品の紹介をする形式が主流です。

1位の「LinForeverGirl」は87年生まれ、浙江省の出身です。フォロワー数は430万に迫ります。全業界のKOLを見渡してもトップ3に入る勢いのあるワンホンです。微博では、最近新たにアカウントを開設したようです。

▲LinForeverGirlの微博アカウントのトップページ

「LinForeverGirl」として活躍する張林超は、早くからネットショップを経営していましたが、斬新なセンスと商品の品の良さからフォロワーの人気は増大し、上海に実店舗を構えるまでになりました。彼女は「服に着られるのではなく服を着ること」が大切だと語っています。おしゃれへのこだわりの強さがうかがえるポリシーです。

フォロワーと会話しながらすすむライブ

直近のライブ配信の様子をご紹介しましょう。2017年10月12日のライブ配信では、張林超は最初、ピンクのセーターと黒のロングスカート姿で登場します。ライブ配信は自らがモデルになり、ファンの書き込みを見ながら着替えていくオーソドックスな構成です。

ライブが始まったばかりには音楽の音量が大きすぎ、張林超の話している声が聞き取りづらかったため、フォロワーから「音楽の音量を下げて」という書き込みがあり、音量の調整に対応しています。

上述のいでたちの張林超が、その上にグレーのふわふわのジャケットを合わせると、「黒のダッフルコートが似合うんじゃない?」というコメントが入ります。張林超が「これ純毛だから高いんだけど」と返すと「何の毛なの？」とさらに質問が続きます。

視聴者の「スカートはその上着と合うね」とか「北の方ではどう合わせたらいい？」「南の方はまだ半袖着てるよ」などのコメントが入り、これに張が答えます。同時に、「張林超ってスタイルいいよね～」という書き込みが繰り返されると、それに対して彼女は「服がいいんだってば」と切り返します。

画面向こうの彼女は華やかでスレンダーですが、ファンの意見に耳を傾け謙遜もする彼女は一般人そのもの。実態はその審美眼で上海に店舗を構えファッションリーダーとしての実力は疑う余地がありませんが、そんなプロの彼女からファッションに関するアドバイスをもらえることに、ファンは価値を見出しているのではないでしょうか。

▲ショッピングバッグのマークの付いた写真からは商品の購入ができる仕組みになっている

「LinForeverGirl」こと張林超はそんなファンの心理を知ってか知らずか、ファンとの相互コミュニケーションに丁寧に取り組んでいます。両者の心の距離感の近さが「KOLマーケティング」の成否を分けそうです。

スレンダーだけがモデルじゃない　ママKOL「夢姣一一于MOMO」の接客に引き込まれる！

第5位にランクインした「夢姣一一于MOMO」は女の子のママです。1位の「LinForeverGirl」と同じく、微博では浙江省出身となっています。アカウント名は表彰された後に変更されたようで、現在は「于momo小餃子」となっています。

彼女のKOLとしての歩みは2010年にタオバオで自身のショップを開店したところから始まります。地元の店で仕入れた服を自身がモデルとして着用、撮影は夫のLK氏が行っていました。

2013年からはWeiboに登場し、かの有名なKOL・papi醤（※）の支援を受け、当初40万程度だったフォロワーが今では190万を超えています。（2017年10月26日確認）

※papi醤とは…ネットでの人気を経て、その名を全国に知られた初めての人物。「ワンホン」の草分け的存在。大学を卒業する直前の2016年6月に「超級紅人節」（スーパーKOLの祭典）で動画部門トップ10に入賞。「醤」は「ジァン」と読み「～ちゃん」の意味、87年生まれ。

彼女の服選びのポリシーは、まず「自分が着てきれいに見える」こと、その次に「フォロワーの好み」、最後が「自分の運営するショップの雰囲気に合うかどうか」だそうです。こういった彼女のポリシーに共感したファンがフォロワーとなっているのでしょう。

ライブ配信では、彼女以外のモデルも登場します。

実は彼女は、微博のアイコンからはわかりませんが、登場するモデルに比べると小柄でぽっちゃりしています。こういった彼女の特徴を、フォロワーはチャーミングで素敵だと肯定的に評価しているようです。

彼女のライブでは、モデルを起用しながらも彼女も同時にその場に同席し、頻繁に画面に近寄りまるでショップ店員のようにフォロワーに語り掛けています。こういったやりとりが、フォロワーが彼女のライブに視聴する価値を見出す一つの理由となっているのではないでしょうか。

「長江デルタ×女性」がファッションアイコン、男性目線はエアポケット？

ファッション業界では「自分のショップの運営」から特に人気の人物がKOLとして名をはせてきたということがわかります。

ライブで動く彼女たちを見ていると、日本の「読モ」のような、きらびやかでどこか「芸能人」が備える完璧な美しさを備えた人物とは異なる属性を感じさせます。スターとは一線を画した「自分のスタイル」「自分のファッションポリシー」を打ち出し、そのカラーに共感したファンが集まることでKOLは存在感を高めていっているようです。

また上海で開催されたイベントであることも影響しているかもしれませんが、今回のランキングでは、6位「謝夢Tse」（北京市）、9位「Fancystyle」（広東省）、10位「魏妮妮Yanni」（上海）を除き、トップ10には浙江省と江蘇省在住のKOLが集中しています。上海周辺の都市が、中国でのファッショントレンドを先導する地として地位を確立しつつあるようです。

▼浙江省、江蘇省について知見を深められる記事はこちら！

中国・都市解説（１）浙江省（杭州市）　～賢く稼ぐ名勝地！大企業の本拠地は、上海に次ぐマーケットになるか？！～

中国・都市解説（５）江蘇省（南京市）～いにしえの首都　江蘇人は日本人のパートナーに最適？～

これらの地域でファッション感度が高いのは女性だけではないようです。今回のランキングではTOP10をすべて女性が占めましたが、上海では美容室でヘアカットし、服装に注意を払っている様子の男性も多く見かけます。男性向けのKOL市場には、まだ大きな成長の余白が残っているのではないでしょうか。

参考：
2017超级红人节获奖名单及相关数据（出典：百度百家号）　中国語

▼続きはこちら

【特集】「美人が派手に」だけじゃない！最新KOL事情（４） 2017年「美容」KOLトップ10！