【中国人気商品】「紙環境」の違いとしっとりやわらかいティッシュペーパーの虜〜「買った」ランキングから
Text/松本果歩
トレンドExpressが毎週行っている中国ソーシャルメディアにおける日本関連書き込み総件数ランキング。そのランキングから、注目の商品、注目のサービスをピックアップ。中国消費者がハマる背景を探ります。
今回は2019年5月8日〜5月14日「買った」ランキングから、しっとりとした肌触りが気持ち良い、大人気のティッシュペーパーの人気について分析してみたいと思います。
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まずランキングトップ10はこちら。
今週の中国人気商品:「鼻セレブ」
今回は「買った」ランキングで3位にランクインしている「鼻セレブ」に注目したいと思います。
この王子ネピアの「鼻セレブ」は日本でも大人気商品。ドラッグストアで売られているボックスティッシュの約3倍ほどの価格であるにも関わらず、「リピート購入している」という方が後を絶ちません。
一般的なティッシュペーパーよりも厚みがあり、なおかつしっとりとした肌触りのため、特に花粉症や風邪の時期などに1日何度も鼻をかむ人から「鼻が赤くならない」「何度も鼻をかんでも肌がカサカサにならない」と定番化しつつあります。他社からも似たような商品は販売されているのですが、このパッケージの動物の可愛さに魅力を感じ購入している人が多いようです。
口コミ件数はほぼ横ばいで、2016年はじめ頃からずっと上位を維持し続けています。さらに、マスク版の「鼻セレブ」も今週の「日本で買いたい日本製品ランキング」にもランクイン。ブランドとしての人気の高さが伺えます。
厚みとやわらかさ、そして日本IPのパッケージがツボに
なぜ、中国人にもここまで「鼻セレブ」は人気が高いのでしょうか。
近年、中国ではPM2.5問題による環境汚染が原因で、鼻炎になってしまった中国人が増えてきています。
中国も数多くの製紙会社があり、ティッシュペーパーも星の数ほど存在しています。しかし、コダワリの国・日本のティッシュと比較してしまうと、その紙質には大きな違いがあります。
日本人的な感覚では硬く、「肌に優しくない」と感じてしまうことがあるのです。
その理由は中国においてティッシュ、特にポケットティッシュは単に鼻をかむものではなく、汗をぬぐったりするハンカチとして利用することも多いため、一定の硬度を保っているためということです。
しかし鼻炎の時には1日に何度も鼻をかむこともあるため、鼻周りの肌が荒れて痛くなってしまいます。ところが、「鼻セレブ」のティッシュペーパーはとにかくふんわりで、触り心地が良く、何度も鼻をかんでも痛くならない点が評価されています。
「鼻セレブ」を利用した中国人消費者が、「ふわふわで鼻に優しい!」「今までなかった気持ちいい感触」とSNSに書きこんだところ、あっという間に広がり中国でも人気商品になりました。
さらに「白い」動物シリーズや、日本の人気IPを使ったパッケージも好評。デザインが可愛いので、見た目も癒されると話題になりました。
様々な仕掛けが中国での人気を加速
2018年10月には「鼻セレブ15周年記念」として鼻セレブの世界観を表現した「鼻セレブcafe鼻屋敷」を期間限定でオープン。リニューアルした鼻セレブのプロモーションとして、従来品とのさわり比べ体験や、スイーツの提供が行われました。
このイベントは中国でも話題になり、多くの中国人「鼻セレブファン」もこの「鼻セレブcafe鼻屋敷」を訪れたことをSNSで興奮気味につぶやいています。
日本では当たり前のように、街を歩いているとポケットティッシュを配っていますが、実はこれ、日本でしか見られない光景なのです。中国では基本的にティッシュペーパーは有料のものであり、かつ肌触りは決して良いとは言えないものなのです。
さらに、トイレットペーパーも日本のものは使用後水に流すことができますが、中国では流さずに備え付けのゴミ箱に捨てます。なんと公衆トイレでは、顔認証機能によりトイレットペーパーを一定の量しか出すことができないのだとか。
そんな状況に慣れている中国人だからこそ、日本の「紙」環境には驚きを隠せないのかもしれません。さらに「鼻セレブ」のような、こだわりの肌触りやしっとり具合の虜になってしまうのではないでしょうか。