上海働く女性が語るコスメ事情~ニーズに合わせて使い方もいろいろ~
さて、女性にとって欠かせないアイテムと言えばコスメ。現在、中国の化粧品市場は基礎化粧品からメイクまで、世界各地のブランドが進出。消費者にとっても選択肢が広がり続けています。そんななか、今回、婦人節の時にお話しを聞いた上海の働く女性たちは、日々どんな化粧品をどのように選び、使っているのでしょうか?
出るわ出るわのご利用化粧品ブランド名
まずは普段使いの化粧品について聞いてみました。
上海の女性も自分の使う化粧品に関しては非常に大きなこだわりを持っているようで、プログラマーのTutuさんが使用している化粧品を上げると、ざっと以下の通り
- 乳液&化粧水:アルビオン
- 導入液:ロレアル
- エイジディレイセラム:Fresh
- アイクリーム:Origin
- 下地:アルビオンかソフィーナ
- 日焼け止:ビオレかアネッサ
- ファンデーション:Covermark、毛戈平(ローカルメイクアップ ブランド)、アルマーニビューティ
- チーク:NARSとルナソル
- アイシャドー:ルナソル
- リップ:TF、CPB、アルマーニビューティ、Dior、YSL、毛戈平…などなど
というように、用途ごとにブランドを分けて使っているパターンです。
もう1人、外資系企業勤務Luciaさんが利用していたものを見てみましょう。
- スキンケア:高い保湿効果のドゥ・ラ・メール(アメリカ)
- 敏感肌向けのスキンケア:ラロッシュポゼ(フランス)、しわ防止のVERSOのアイクリーム(スウェーデン)とエリザベスアーデンの美容液(アメリカ)メイクアップフォーエバー(フランス)など
また日本のものでは、CPB(クレ・ド・ポー ボーテ)、コスメデコルテ、HABAとSUQQUのファンデーションを使っているとのこと。
「友人が海外にいるので、海外の新しい商品を教えてくれる」そうです。
それに対して、全部ブランドを統一して使うパターンも。
外資系企業に勤めるOlgaさんと小学校教諭のYenさんが上げたのが、エスティローダーの「ニュートリシャス」シリーズ。
Yenさん曰く「きっかけは友達の推薦」だったようで、使用感がいいため数年間使い続けているとか。
同ブランドは中国で非常に人気の高いブランドのひとつ。街中などでも多くの看板などを目にすることができます。なかでも「ザクロ」を使用した「ニュートリシャス」シリーズは、中国女性が気にする「肌への潤い」以外にも肌に活力を与える効果があり、年齢による肌の変化を気にする女性に受け入れられています。
中国の女性は「アンチエイジングは早めに」と、20代でSK-Ⅱのようなアンチエイジング効果の高い化粧品を使用する傾向が強いので、そうした部分もうけているようです。
その中で近年注目されているのが、日本の「しわ改善効果」のある化粧品。Olgaさんからは「最近、周りにオススメしたいのは『エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリーム』!」との言葉が聞かれました。
同商品は日本の厚生労働省が認証したしわ改善に効果がある2商品のうちのひとつ(もうひとつは『バイタルパーフェクション リンクルリフト ディープレチノホワイト4』)で、「こっちのほうが少し安い」とのこと。
同商品、日本でも人気が高いのですが、Olgaさんいわく「安い」とはいえ8,000円以上する商品です。それでも世界中の女性が気にする「目じり」ケアに有効とあれば、出費もいとわないということでしょう。
ただ、最近では「自然派」の女性も増えつつあります。特に健康志向やナチュラル志向など、「意識が高い」ことを求める上海の若者の間では、ロハスといった考え方や日本の断捨離に近い理念も受け入れられています。
そうした傾向が化粧品にも表れているようで、「あまり顔にいろんな商品を塗らない」派のフリーランサーAmaoさんは、無印良品の無添加化粧品を愛用しているとのこと。
購入場所も上海の店舗での購入が多く、「日本よりも若干高いけど、もとがそんなに高価なものではないから気にならない」と言います。
上述のアンチエイジングニーズとともに、中国女性にとっては化粧による肌へのダメージも気になるようで、そうした女性からは無印良品の無添加化粧品が高い評価を得ているようです。
こうしてみると、使っているブランドはまちまちながら、肌の乾燥対策やしわ対策が多い様子。Luciaさんが言うように「一番気になるのは保湿、しわ防止と敏感肌」であり、そうした悩みを解決する高機能化粧品には人気が集まるようです。
購入は海外&ECが主流に
では、どこでこうした商品を買っているのでしょうか?
エスティローダーを利用しているOlgaさんが挙げたのが『日上』。上海の空港に設置されている免税店です。ただ、同時にT-Mall Globalの旗艦店を活用しているとのこと。
何故かと言えば「免税店はエスティ―ローダーサンプルなしで1100元、オフィシャルサイト(T-Mall Global)は色々なサンプル付きで1700元」と、お得感を見て使い分けている様子です。
ちなみにOlgaさんが『エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリーム』を購入したのは訪日観光の時だそうで、「周りの推薦と小紅書(RED)の評価をチェックして」決めたそうです。
またLuciaさんは「できれば海外に住む友人が一時帰国する時に、買ってきてもらう。それか、自分で年何回か海外旅行をするので、その時に買う。できない場合は百貨店で買う」とのこと。
ただし「初購入は絶対現地(海外)か百貨店で買います。だって100%本物だと確信して買いたいから」。
2回目からはT-Mall Globalで買う時もあるそうなのですが、何故かと言えば「すでに本物を持っているからT-Mallで買ったものが本物かどうか判断できる」からだそう。
どうやら購入は、海外旅行・越境ECを上手に組み合わせて利用している傾向があるようです。特に「本物を、お得に手に入れる」方法を常に模索しているといった印象です。上海の空港免税店が多用されているのはその両者を兼ね備えているからのようです。
インバウンド消費にもつながりそうですが、一点気になる点が。
スキンケアはSK-Ⅱ、アルビオン、雪肌精とHABAを使い、毎年日本旅行へ行くIT関連会社のAmandaさんは「日本の百貨店が大好き!丁寧に肌質チェックやカウンセリングしてから商品をお勧めしてくれるし、サンプルもいっぱい貰える」という、日本にとってもうれしい言葉を聞かせてくれました。
しかし気になる点も。「去年大阪の大丸へ行った時に、客(ほぼ全員中国人)が多すぎて対応が手薄くなって、少しがっかりした。」というのです。
日本の商品そのものだけではなく、その販売サービスも中国消費者から評価の高いところ。そうした部分を失わないように気を付けたいものです。
ちなみに、女性で取材の中で話題になったのが「口紅」。「口紅は一番リーズナブルにできるおしゃれ」という言葉が取材対象者からも聞こえてきましたが、最も人気の化粧品。
参考のためTutuさんが持っている口紅を見せていただくと…。
このくらいの本数は「中国の女性では普通」なのだとか。
今おススメなのは「Diorの639」だそうで、「発色がよく、潤う口紅」とのこと。
世の中には「リップスティック指数(不況の時には口紅の売り上げが伸びる)」などという言葉がありますが、中国では景気に関わらず口紅ニーズは高そうです。