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【訪日中国人】中国お花見インバウンド人気スポット分析 ~桜を求めてどこまでも

間もなくやって来るお花見シーズン。そのお花見を心待ちにしているのは中国消費者も同様。間もなく訪れるであろうお花見インバウンドに向け、中国トレンドExpressは「中国お花見クチコミ調査」を実施、その分析をお伝えしています。

さて前回、中国人消費者のお花見クチコミを紹介した際、「2018年は5月のクチコミが最も多かった」とお伝えし、その背景には中国人消費者の訪れるスポットにある、とお話ししました。

今回はその中国消費者の「人気お花見スポット」を分析してみたいと思います。

■調査内容

  • 花見
  • 花見×行きたい
  • 花見×日本×どこ
  • 花見×いつ
  • 花見×日本×いくら
  • 花見×攻略
  • 花見×注意
  • 「お花見×日本」のポジネガ

▼前回までの記事は

【訪日中国人】 日韓「お花見誘致」バトル開始か? 今年もやって来る、お花見ニーズ

【訪日中国人】中国観光客のお花見ニーズをクチコミ分析!~今年も起こるか「爆花見」~

【訪日中国人】 桜の開花情報もアプリでチェック 中国人お花見インバウンド情報収集を分析


昨年の爆花見主戦場、今年も人気集中か

まずは振り返ってみましょう。2017年と2018年にWeibo上でクチこまれた「お花見キーワード」の月ごとの変化です。

これを見ると2017年は4月にピークが訪れているのに対し、2018年のピークは5月。その理由を探るために、日本のお花見スポットの中で、中国で話題になっている場所を選ぶため「お花見×日本×どこ」というキーワードで情報を収集、TOP20を整理しました。

まずはその上位10スポットを見てみましょう。

【グラフ】中国で話題のお花見スポットTOP10

見れば日本でもおなじみのお花見スポットが並んでいます。

1位は「京都」、2位の「清水寺」、7位「京都御苑」、9位の「円山公園」などと合わせて、京都勢が10位内で4つもエントリーしています。普段の訪日観光でも上位の常連キーワードですが、やはり京都の古い町並みに桜が加わることで、「日本にいる感」がより一層高まることを期待しているようです。

7位にある「京都御苑」は京都御所、仙洞御所を含んだエリア。御所内部の見学には予約が必要になるため、多くの人がその庭園から御所を眺めていくことが多いようです。

 

3位には東京の桜の名所・目黒川。毎年お花見シーズンにはイベントが行われ、多くの人でにぎわいます。川の両側に1350本もの桜の木が並び、満開シーズンはまさに圧巻。国内外を問わず訪れた人を魅了しています。

2018年は数多くの中国人観光客が詰めかけ、列を作るプラカードも日本語だけではなく、英語、韓国語、中国語で表記されるなど、対応に追われていました。

このクチコミを見る限り、今年も中国人観光客お花見の目的地となりそうです。

また5位の「新宿御苑」、10位に入った「上野公園」など、東京のお花見スポットは、2018年のいわゆる「爆花見」の主戦場となったエリア。

今年もこうしたエリアに人が集まりそうな気配です。

 

しかし、これでは5月にピークが来る理由がわかりません。その理由は10位以下にあります。

中国人観光客、桜を求めて北へ

では引き続き、10位以下も併せて見てみましょう。

 

【グラフ】中国で話題のお花見スポットTOP10

上野公園以下の地名を見てみると、13位「松前公園」、14位「旭山公園」と、北海道の地名が並びます。

もともと北海道は日本でもインバウンド、特に中国人観光客の人気スポットとなっていますが、近年は遅めのお花見を楽しむ人たちの目的地ともなっているようです。

また19位に入っている「弘前公園」は青森県。桜が散るころになると、木下の川面が桜の花びらで敷き詰められる「花いかだ」と呼ばれる光景が見られることで有名で、そのシーンを撮影するために訪れる国内の観光客も数多くいます。

弘前公園が誇る美景・花いかだ。中国人観光客もうっとり

こうした東北エリアの桜は関西や関東よりも開花が遅く、見ごろも4月末~5月とずれ込みます。こうしたシーズンを狙って北上、東北・北海道エリアの桜を楽しむ観光客が2017年に比して増えているのが、5月に桜のクチコミが増える要因になっていると考えられます。

 

さらに今回の調査では福井県にある「九頭竜万本桜(勝山弁天桜)」や、熊本県阿蘇市の「一心行の大桜」など、日本の地方の名所が確認できました。

これは中国人観光客が幅広く日本の桜の情報を収集し、その地を目指そうとしていることになります。

背景はやはり…

東京・京都・大阪などの桜から地方へ目を向け始めている中国人観光客。その背景にあるのは「コスト」や「人の多さ」であると考えられます。

Weiboのクチコミを見てみると、お花見シーズンのホテルの取りにくさ、価格などについて多くの嘆きが聞こえてきます。

と同時に、「日本の桜って東京や京都だけじゃないよね」といった意識も徐々に芽生えています。特にお花見以外での訪日観光の目的地が、少しずつ地方に分散化している中で、お花見シーズンではないながらその土地のお花見スポットを知り、「じゃあ次は桜を見に来よう」と思うケースもあるようです。

さらに有名スポットは中国人観光客が集中するため、訪日観光のリピーターは敬遠しがち。特に目黒川などは「新人訪日客」でにぎわうため、日本観光ファンの足が遠のいているという話もあります。

 

日本の誇る「桜」、その名所は日本各地に存在しています。

こうした隠れた桜の名所を上手にPRしていくことで、日本が求める本当の意味での「インバウンドによる地方活性化」につながる可能性があります。

日本政府が進める単純に数だけを追い求めるインバウンドから脱却し、コンテンツの魅力によるインバウンドを展開するのに、こうした地方の桜は非常に価値のある資源であるように思います。

▼次回の記事は

【訪日中国人】 桜の開花情報もアプリでチェック 中国人お花見インバウンド情報収集を分析