【中国プロモーション】バレンタイン≠チョコレート (1)熱いプロモーションで女心をつかめ
2月といえばバレンタインデー。心ときめく恋人たちの日であることは中国でも同様なのですが、その過ごし方は日本とはちょっとだけ違います。今回はそんな中国のバレンタイン事情と、そこに向けての企業プロモーションについてご紹介します。
日本ではバレンタインといえば「チョコレート」で、かつ女性から男性へ贈るのが通常。しかし中国では基本的に男性が女性に何らかの贈り物をする日なのです。そもそも欧米ではどちらがどちらへ贈るという決まりはなく、恋人たちがお互いに相手を思いやる日。そういった意味では日本の方が特殊な過ごし方をしているともいえるでしょう。
ムーディを演出せよ!
では、中国の男性はどういったものを贈るのでしょうか。
もちろんブランド物のバッグやアクセサリー、高級化粧品などが人気商品。しかし重要なのは「ムード」。中国の男性陣は知恵を絞って、パートナーの心に描いた「ロマンティックな1日」を演出しなくてはならないのです。
ネット上の「情人节如何给女朋友惊喜」といったページを見てみると、例えば、待ち合わせの場所で会ったらすぐに真っ赤なバラの花束を渡し、美しい夜景の見える「高級」レストランでディナーを楽しみ、その後はバラの花束を敷き詰め、ハート形の風船を浮かべ、キャンドルでライトアップした部屋で…。といった、まさにロマンティックにおける「鉄板」が並べられています。
なかでも「赤いバラ」は必須アイテムで、毎年この時期にはバラの価格が高騰することも知られています。
ただ、ここまで「鉄板のムード」を演出しなくとも、何らかの「サプライズが欲しい!」というのが中国女性の本音のよう。
中国の男性たちはそんな女性のささやかな思いをかなえるため、自身の持つ知力・体力・経済力を動員する、つまり中国のバレンタインとは、男性が女性に向けての「心遣い」を見せる日なのです。
そんな中国のバレンタインは一大商戦(送るものがチョコレートに限られないため)。多くの企業がバレンタインをテーマにしたプロモーションを展開しています。今回はそんな中国バレンタイン商戦から、昨2017年に消費者の心をつかんだプロモーション施策をピックアップしました。
白熱する化粧品商戦。
贈り物を受け取るのが女性とあって、自然と「化粧品」業界が積極的にプロモーションを展開。同市場、バレンタインならずとも競争が激しい市場だけあってプロモーションにも熱が入ります。今回は中国、韓国のブランドによるイベントをご紹介。
・「初雪に愛を告白」―ソルファス
時間:2017年2月14日
2月13日-14日のバレンタイン期間中、広州、上海、武漢、成都、杭州の5つの都市でイベントを開催したのは、韓国の化粧品ブランドソルファス。
イベントのテーマは「一番綺麗な初雪、ラブラブの姿を見せよう」というもの。イベント参加者はその場で恋人や想い人に告白をするとプレゼントを獲得することができるという、韓流ドラマの展開を思わせるオーソドックスなバレンタインイベントとなりました。
参考:
http://fashion.sina.com.cn/b/nw/2017-02-14/1757/doc-ifyamkzq1308818.shtml 中国語
・アンチバレンタイン!―WETHERM「あなたと恋したくない」
時間:2017年2月14日
バレンタインデーの前日にあえて「アンチバレンタイン」を打ち出したイベントを開催したのが中国化粧品ブランドwetherm。
若者に人気のうさぎのキャラクター「Tuzki」と提携、WeChatモーメンツで「2.14にさよなら、あなたと恋したくない!」と銘打ったイベントを開催し、1800万人の潜在消費者に向けに、アップグレードした「四代目Tuzkiフェイスマスク」をプレゼント。
消費者に「ユーモア」のわかるブランドというアピールを行い、若者向けブランドというイメージの構築を狙ったものでした。
SNSの反応を見ると、バレンタインのプレゼント向けというよりは、パートナーのいない若い女性に効果があった模様です。
参考:
http://www.cbo.cn/article/id/40721.html 中国語
男の意地を見せるアクセサリー。
化粧品と並んでバレンタインのプレゼントに選ばれるのがアクセサリー。男性側からしても、その価格とともにセンスも問われるため、ブランドとともに話題性から選ばれる傾向がある商品です。
・ピンクの風船で指輪一万個を空中投下―BLOVES
時間:2017年2月8日
参考:
http://www.bloves.com/news/newsitem-12901.html 中国語
卓球選手・福原愛の結婚指輪となったことで注目を集めた中国の指輪ブランド「BLOVES」。同社は2018年のバレンタインデー迎えるにあたって、ヘリウム数十缶を使い、ピンクの風船3万個を深センのある山から空中投下するイベントを開催。
空から降りてくるピンクの風船にピンクの箱が結び付けられておりましたが、「中には指輪が入っている」という触れ込みで注目を集め、当日は風船や指輪等の写真がSNSにアップされました。ちなみに箱の中に入っていたのは、手編みのお花の指輪だったとのこと。
騰訊黄金紅包が登場
時間:2017年2月14日
「騰訊微黄金」はバレンタインデー当日に黄金紅包をスタート。バレンタインデーに合わせ、従来の取引量1000mgという制限を1314mgに調整しました。これは「一生一世(一生愛します)」の語呂合わせ。同時に、WeChat紅包の制限額も調整され、従来の200元から520元(我愛你:I love youの意)にアップ。バレンタインデーの間、ユーザーはWeChat紅包で「愛している」を表現できるようなったのです。
まとめ
バレンタインの「伝統」業界では、「オーソドックス」な告知やバリュー戦略と、「奇を狙った」キャッチ、イベント戦略が分かれました。SNSの反応を見てみると、やはり後者のほうがより消費者の印象に残ったようです。
次回は同じくムードを盛り上げる外食サービス業界と、日本ではあまり見られない、意外な業界のバレンタイン戦略をご紹介します。