【セミナーレポート】China Beauty(5)~「抹茶美粧」プロモーション事例~
(4)では、美容アプリ「抹茶美粧」の動画拡散力、淘宝(タオバオ)との連携によるオンライン・マーケティングサイクルの解説に加え、「KOLの存在意義」と美容製品との相性の良さ、そして中国美容市場におけるサンプリングの意義について解き明かしてきました。
本編では、「抹茶美粧」内の動画コンテンツ「摩卡動画」を使っての実際のプロモーション事例について解説いたします。
【事例1】動画からEC ~1日で140件購入のDiorクリーム、2日で4,500件ヘアアイロン+写真プリンタ
Diorスキンクリーム
2016年9月、世界的コスメブランドDiorが、新商品「ドリームスキン 美肌修正クリーム」を全世界へ向けて同時発売しました。
これに先駆けて、「抹茶美粧」では、人気KOL3名を起用したモバイル端末向け動画広告を制作。この商品のプロモーションとしては、世界で一番早くモバイル端末に特化したものとなりました。
このプロモーションでは、3名のKOLがそれぞれひとりずつ出演した3種類の動画が製作されました。これは、KOLの特性に合わせて、それぞれ違う角度からブランドと商品の理念を表現するためで、例えば、「商品の特徴だけではなく、メイクのハウツーを含めて紹介する」など、彼女たちが得意とする手法で様々なアプローチをします。
▲KOLの出演する動画が、アプリ「抹茶美粧」内で各出演者のアカウントにてアップロードされている
動画はアプリ「抹茶美粧」内でアップすると同時に、広告バナーも掲載します。このバナーは、アプリの立ち上げ時にポップアップ広告として表示され、トップページバナー、コミュニティコンテンツ内のバナーにも連動して表示されます。
バナーは提携している動画サイト、SNSアプリでも配信され、広告+コンテンツの2軸で誘客をする構図となりました。同時に、出演しているKOLは新浪微博、微信(WeChat)の自身のアカウントで動画を投稿し、その拡散効果によってターゲット層の裾野にも幅広くいきわたります。
これにより、動画アップ当日の動画再生数は、「抹茶美粧」内で80万回、サイト外では合わせて120万回に上り、広告期間の総再生回数は900万回を超えました。
この商品の購入チャネルは、動画から直接ブランドのECサイトへリンクをはりました。これにより、広告視聴から購入までシームレスで行うことができます。発売当日、オフィシャルサイトでは、「摩卡動画」経由では約140件の購入がありました。
ヘアアイロン(Lena)
同様の施策に淘宝(タオバオ)内の店舗でのヘアアイロンの販売例があります。この企画ではLenaのヘアアイロンとヒューレットパッカードの写真プリンタをセットで販売しました。
動画はKOLが髪の毛をセットし、自分をスマホで撮影、データを小さなプリンタに送りあっという間に印刷完了!というストーリーになっています。動画は「抹茶美粧」でのキャンペーン告知と同時に淘宝(タオバオ)のショッピングチャネルにアップ、リンクを設置して購入可能な店舗サイトへ誘導しました。
メーカーの公式アカウントでもこの動画を各SNSに発信し、動画再生数は100万回以上となりました。販売数はわずか2日間で4,500件の目標を達成。「拡散力」と「即時性」の強みを生かし、売り上げに結び付いた事例となりました。
現在、美容商品の動画コンテンツで淘宝(タオバオ)へB to Cのアイテムで動画の掲載が可能なチャネルは「抹茶美粧」のみです。様々なブランドが「抹茶美粧」での動画制作、広告配信を行っています。
【事例2】オリジナル動画でのプロダクトプレイスメント
オリジナルショートムービーを使ってのプロダクトプレイスメントも、中国市場で多く採用される手法となっています。
特に、4話~20話で構成された、ストーリー性が高い作品やコメディタッチな雰囲気が話題を呼びます。物語の中で印象的に商品を映し、潜在的な購買意欲を引き出すようなテクニックが発揮されるのも、製作部門を擁する「抹茶美粧」の強みです。
中国国内では大河ドラマ・時代劇が人気を博しています。この潮流を利用し、ショートムービーの制作、配信で成功した例が「YSL原色グロス」と「ランコム原色リップ」です。作品の中で、これらの商品は過去のメイクを再現するために使われています。
▲古代のメイクを再現する様子。画面上の文字は視聴者が送信するもの。「これきれい」「すごい」などのコメントが流れていく。
このコンテンツは全12回のシリーズです。動画共有サイトの「秒拍」(ミャオパイ)、ポータルサイトの「捜狐」(ソウフー)に掲載されたほか、SNSなど11のプラットホームで配信され、総再生数は8000万回にも上りました。
流行の時代劇を取り入れた観点、商品を前面に押し出しすぎない構成が好まれて、シリーズを通してこの商品の認知度は上昇しました。商品の良さを一方的に発信するコンテンツはもはや中国では必要とされていないきらいすらあります。中国人消費者へ届けるには「その動画を視聴したい」と思わせるコンテンツが必要です。
【事例3】ドメスティックブランドは「フランス産」を訴求!
中国国内ブランドももちろん動画を活用しています。エッセンシャルオイルの「阿芙精油」(アーフゥジンヨウ)はKOLを起用しブランディング動画を制作、配信しています。
▲KOLのフランス旅行レポートのコンテンツ。アプリ「抹茶美粧」へのエントリー
動画は、KOL4名が、一緒にフランスへ旅行に行くロードムービー仕立てのストーリーです。旅支度のシーンで、様々な旅行グッズと共に阿芙精油の美容品が映ります。
実際の使用シーンでは使い方を解説、旅先のフランスでラベンダー畑へ足を運び、製品の原材料が「フランス産ラベンダー」であることを印象付けます。
動画は全12話制作され、旅行中のKOLたちの素顔やトークを盛り込み、彼女たちのファンや同年代の女性の興味をそそるような作品です。動画の公開に先駆け、出演者であるKOLが撮影中のフランスから観光写真を投稿したり、旅の様子を動画配信サイトの自身のアカウントからライブ配信したりと、制作時から話題を作り関心を呼び続けることにも成功しています。
その結果「抹茶美粧」を含めた12のSNS、アプリでPVは3000万以上を記録、新浪微博のカテゴリ別話題ランキングで最高6位となりました。動画コンテンツの求心力、複数のSNSを利用した拡散力の強化が相互作用し、商品の知名度だけでなく「フランス産原料使用」というブランド力が広く知れ渡る結果となりました。
【事例4】現地の空気を楽しく届ける! クロスボーダー施策
「抹茶美粧」内の動画で伝えるのは、中国国内の製品だけではありません。中国国外で行われる美容品のイベントにKOLが足を運び、現地の空気に触れ、そこで育ったブランドの理念といった情報を入手し、現地の「加工されないまま」の情報を、イベントの中継や動画に込めて中国国内の視聴者に伝えていきます。
最近の事例では、韓国のブランドとのタイアップがあります。中国から人気KOL総勢12名が韓国へ、同じく韓国ネット上で人気を誇る美容KOLを集め「中韓美容対決」と題したエンターテインメント動画を制作しました。
動画では、出演者がブランドにゆかりのある地域や、韓国での若者にとって外せないスポットを訪れます。またブランドの化粧品を使ったメイク対決だけでなく、KOLのスキンケア講座、買い物企画など、韓国の人気テレビ番組とコラボレーションしたバラエティ色の強いコンテンツが盛り込まれました。
動画は提携先のオフィシャルアカウントやKOLの個人カウントから拡散され、動画配信サイトでも中国・韓国・アジア各国と三方向同時中継を行いました。動画配信サイトでは閲覧数3000万回以上、KOL達の個人アカウントでは総閲覧数は6000万弱、結果このブランドの中国国内での知名度は飛躍的に上昇しています。
今回の動画プロモーション施策は、娯楽性の高い作品として興味を持たれたことが成功要因です。またブランドのゆかりの地域や、その国での同年代女性の利用スタイルという情報が、ブランドイメージをより強固にするだけでなく安心感・親近感を与え、ひいては購買につながる効果があります。
まとめ
以上見てきたように、動画施策の制作と配信における成功ポイントは、以下の三点に集約されます。
- コンテンツの質(目を引く/共感できる/自然に商品が映りこむ ストーリー)
- 拡散力
- 即時性
「抹茶美粧」がこの三点をすべてを実現できるプラットホームであることに、お気づきになった読者の方もいるのではないでしょうか。
18歳から参加する「中国美容市場」は、アプリの存在なくして語れません。そしてその市場に飛び込むのに、KOL・サンプリング・動画配信というプロモーションにおける三種の神器のそろった「抹茶美粧」が大きな武器となるでしょう。
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