5400億元を突破との報道も 静かに過ぎた異例のダブルイレブン
2021年のダブルイレブンが終了した。その様相は例年とは全く違う物であり、Afterコロナにおける最初のダブルイレブンとなった2020年とは異なる意味で印象に残る商戦となった。
前夜祭こそ例年通り開催されたが、カウントダウンもなく、またT-Mallの広報が発表する「戦報」、すなわちオーダー金額推移の公開もなされないまま、またT-MallのWeibo公式アカウントを見ていても「君はもう買ったか?」といった消費を煽るメッセージもなされず、まさに“粛々と過ぎた”11月11日であった。
その様子や背景の分析などは、日本のニュースやワイドショーなどで取り上げられ、「政府の政策方針を広く汲んだもの」と見解がほぼ統一されているが、中国側のデータ専門家や小売専門メディアからはいつもと異なる雰囲気に戸惑いの様子が見て取れた。
気になるオーダー金額であるが、日本時間12日午前1:36分現在、WeiboのT-Mallおよび広報のアカウントからは正式な金額発表はなされていない。
しかし中国の主にEC動向専門媒体である億邦動力(ebrun.com)では、2021年T-Mallの累計GMVを「5,403億元」と報じている(5403亿!天猫双十一GMV有了!)。
これが確かであれば2021年のダブルイレブンも前年の記録を刷新し、静かな中でも商戦としては好調、また異なる次元に到達して終わったといえるだろう。
【グラフ】暦年のダブルイレブンGMV推移(単位:億元)
出所:2017年~2020年はT-Mallの公式発表、2021年は上記メディアの報道を基に作成
T-Mallからの公式発表が無い(遅れている)のは、アリババが事前および前夜祭で打ち出した理由「消費を煽るオーダー金額ではなく、環境に配慮した、エコロジーな商戦を目指す」といった公益性を重要視し、それを徹底させているためであろうと推察される。
またJD.comは12日0:00過ぎに速報値として累計「3,491億元」との発表がなされている。
注目するのが、その金額とともに「物流チェーンにおける二酸化炭素が2.6万トンの削減」や包装リサイクル使用が述べ1135万回に達したことなど、ここでも環境に配慮しているメッセージがなされていた。
11日が中国共産党の重要会議最終日と重なったという点においても、いろいろと考察をなされるダブルイレブンとなったが、同時に中国における商戦の戦略的意義、中国市場での今後の戦い方を改めて考えさせる商戦となったといえるだろう。
中国トレンドExpressでは例年通り、2021年もダブルイレブンに関した情報を可能な限り収集し、分析を行っていく予定。
記事化をお待ちいただきたい。