2021年上半期イベントカレンダー 中国マーケで注意点は?
多くの災難に見舞われた2020年も過ぎ去り、2021年が始まった。
1月第1週時点で中国では遼寧省や山東省、河北省など主に北方地方を中心に感染が見つかっているが、2020年のような大規模な外出規制にまでは至っておらず、このまま「Withコロナ」の社会で進んでいくものと予想される。
それに対しアメリカやイギリスなど欧米ではいまだコロナ禍が続いており、日本でも一都三県への緊急事態宣言が行われている。
ただこうした世界情勢によって、中国の消費者も海外への渡航が制限され、その消費意欲は国内でのショッピングに向けられることになる。
中国国内向けのマーケティングはより重要性を帯びることになるだろう。まずはカレンダーをチェックしてしっかりと準備しておきたい。
2021年上半期の商戦スケジュールを確認しよう
まずは、2021年の上半期、どのようなイベントが行われるのかを見てみよう。
【表】2021年上半期イベントスケジュール
時期 | イベント | EC商戦 | 備考 |
1月17日 | 年貨節 | ||
2月12日 | 春節 | 旧暦新年。その直前から「年貨節」という年越し商材セールが行われる | |
2月14日 | バレンタイン | バレンタインデー。若者プレゼント商材セール(男女ともに) | |
2月25日 | |||
3月3日 | 女王節 | 国際婦人デーに合わせた女性向け商品セール | |
3月8日 | 3-8婦人節 | ||
3月9日 | |||
4月4日 | 清明節 | 先祖を祭る日。政府は革命に身を捧げた先人を悼む日としている | |
5月1日 | 労働節 | メーデー。3日間の短期休暇でありネット上でもセールが行われる | |
5月4日 | 母親節(母の日) | 母の日プレゼント商材 | |
5月20日 | オンラインバレンタイン | “我愛你”に音が似ているためインターネットバレンタインと呼ばれる日 | |
5月25日 | 618 | ||
6月1日 | 児童節 | 国際児童デー。子供向け商品が盛り上がるが、一部「彼女向け」商材も | |
6月14日 | 端午節 | 端午節は3日間の公休日となる。それに合わせて小型の商戦を組む | |
6月18日 | 上半期最大商戦「618」当日 | ||
6月19日 | |||
6月20日 | 父親節(父の日) | 父の日プレゼント商材 |
すでに商戦に向けて動いているものが1月17日から開始される「年貨節」だ。
2021年は2月12日が春節であり、その前から始まるいわば“年末商戦”である。天猫では1月17日から予約に入り、春節終了前日の2月25日まで行われる。
正式な春節終了は旧暦一月十五の「元宵節」までなので、その期間をECショッピングで過ごしてもらおうという商戦である。
本来は訪日観光を含め海外渡航が多い時期ではあるが、今年はそれが望めず、その消費の取り込みに各ECサイトは力を注いでいる。
その次の波は3月8日の国際婦人デー。
天猫では「女王節」というネーミングで、女性向け商材の大規模セールを行っている。2021年にはコロナ禍におけるこの商戦で、多くのコスメ業界が活気づき、CEOによるライブコマースなどでコロナの影響からの脱却を図った。
2020年は国内ブランドが素早く反応している姿が見えたが、2021年においては海外ブランドも十分に準備を整えてくることが予想され、競争は激化しそうだ。
そして618である。
ダブルイレブン商戦に向かうための大きな足掛かりになる事は変わらないこの商戦、同様にそれ以前の商戦、マーケティングによって決まるといっても過言ではない。
「女王節」を含め、「バレンタイン」、「母の日」、「520オンラインバレンタイン」などの細かなイベント活用して中国消費者とのコミュニケーションを深めてくことになる。
ただし、主に海外ブランドでは2020年のコロナ禍によるダメージ回復を中国市場で行なおうという思いが強く、前年を超える勢いのプロモーションを展開してくる可能性も高い。
厳しい戦いを覚悟する必要があるだろう。
ECそしてKOLライブに対する動きには注目
2021年の中国向けプロモーションで気を付けなければならないポイントが2つある。
一つはECサイトの動きである。
2020年はコロナ禍に合って出歩かずに消費ができるECは大きく盛り上がり、ダブルイレブンでも前年を超えるオーダー金額を達成した。
しかしその陰で商戦を利用し「事前値上げ後の割引」「虚偽キャンペーン」「誘導的オーダー」などの違反行為を行っていたとして、天猫、京東、唯品会の3社に50万元罰金処分が通達された。
さらに企業に対しては小売であるECサイトが高圧的な条件を強いることも、かねてから問題視されていた。
2019年のダブルイレブンにおいては家電大手の格力が天猫に対して「不当な二者択一(京東のキャンペーンに参加する場合は天猫のイベントに参加できない)を強いられた」と裁判沙汰にまでなっているのである。
今後はこうした巨大化したECプラットホームに対して消費者権益や公正な競争の展開などといった点で、行政の監督が強化されるとみられる。
大手ECサイトの間に翻弄されたメーカーにとっては朗報となるだろう。
もう一つはKOLによるライブコマースである。
こちらはダブルイレブン終了後に多くの「不正行為」が指摘されたことがきっかけとなっている。
マイクロKOLなどだけではなく、快手の辛巴やカリスマKOLの李佳琦まで、ライブコマースで紹介した商品の真偽性が問われることになった。
宣伝内容と実際の商品が異なったり、紹介商品の安全性が疑問視されるなど、KOLによるライブコマースの信用が揺らいでいるのである。
またライバー・李雪琴が行ったダブルイレブン中のライブにおけるデータ偽造も大きな問題となり、シンクタンク艾媒諮詢では『“李雪琴经历直播带货造假”+事件舆情监测报告』という、同案件に関する経緯とKOLライブにおける諸問題をまとめたレポートを発行するまでになった。
すでに中国の政府もライブコマース市場の健全な発展のための監督強化に乗り出すことを明言しており、これまであやふやだった『広告法』の適用範囲などに明確なレギュレーションが提示される可能性が高い。
ライブコマースにおいてKOLの発する文言、表現方法、また自社商品の効能・機能に関する裏付け資料など、注意が必要となりそうだ。
中国トレンドExpressでは2021年もこうした中国マーケティングに関わる行政の動きなども随時、分析を踏まえて発信していく予定。
▼上記のライブコマースを事情を含めた2020年の中国消費市場の情報はこちらから