クチコミで振り返る618 ~ダブルイレブンのための復習~
618からはやひと月。
すでに多くの企業が今年のダブルイレブンに向けて動き出している。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、消費者の消費マインドや習慣、そしてそれに対する有効なマーケティング方法が大きく変わっている。
8月以降に本格化するダブルイレブンへの準備のために、もう一度先の大型商戦618を復習しておこう。
クチコミで振り返る2020年の618
トレンドExpressでは、今年の618がどのように消費者がとらえていたかを把握するため、5月25日から6月20日の618期間中、Weibo上でつぶやかれた関連キーワードでのクチコミ調査を行った。
関連クチコミ総数を見ると、昨年が約30万件であったが、今年は50万件を超え、昨年比で70%近い伸びを見せている。
【グラフ】2019年と2020年の618クチコミ総数
株式会社トレンドExpress・数慧光(上海)商務諮詢有限公司調べ
ここにはやはり新型コロナ禍における「報復消費」ともいえる心理が現れていたのではと考えられる。
同じくクチコミ調査で618期間中にクチコミをされたブランド名を集計した。ここでは上位10ブランドのみを上げよう。
【表】618におけるブランドクチコミ件数上位10ブランド
株式会社トレンドExpress・数慧光(上海)商務諮詢有限公司調べ
それを見るとやはり「LOREAL」、「ESTEE LAUDER」の欧米系スキンケアブランドの強さが際立つ。
しかし、2019年と2020年のトップ10を比べてみると中国ブランドの存在感が増している。
さらにこれらのブランドの多くは、依然述べたように抖音や快手など、ECモール外のメディアを活用してライブを行っている形跡が見て取れ、ショートビデオアプリを使ったライブ配信が認知度向上や商品への興味喚起、そして消費に連動していることが見て取れる。
従来のように「EC商戦向けライブ=ECモールでのライブ」という図式だけではなくなっているのである。
▼参考記事
中国ECがまた新時代へ? 2020年Afterコロナの618(会員向け)
こうしたECモール外であるショートビデオアプリを経由してトラフィックをECサイトに呼び込むマーケティングにおいては、やはり中国国内企業がいち早く展開しており、それが2019年に比べTOP10に中国企業が増えた要因ともなっている様子である。
日本企業もライブ戦略で中国市場開拓を
こうした状況も相まって、中国のマーケティング市場では「モール外への広告投資が増えている」状況にあるという。
618が終了して間もない6月末、東京都内で行われた中国事業を展開している大手企業による情報交換イベントにおいても、ライブなどマーケティングの話題となっていた。
実際に618にも参加したある日用品メーカーの中国事業担当者は今年の618商戦での手ごたえを感じながら、その中でのマーケティング戦略の一環として抖音を上げた。
同氏いわく「日本において15秒のCMを中心にマーケティングを行っていたため、抖音のような短時間で訴求するプロモーションとは親和性が高い。今後はコミカルなものやまじめなものなどの手法を変えながら試していく」と述べ、ショートビデオアプリの有効性を語っていた。
こうした消費者も手軽な感覚で楽しむアプリに、クリエイティブ性の高い短編動画を流し込む戦略は、知名度を高めるには有効な手段と考えられる。
また別の健康食品メーカーは、大物KOLを活用したライブ配信の効果の大きさは認めながらも「費用面やまた商戦時にはかなりリーズナブルな価格をもとめられる」とハードルの存在を認めている。
その対策として「中国側で一般スタッフによる小型のライブ配信を数多く展開することにより、知名度を高め、ECモール側から“ここのブランドは頑張っている”と思われることで販促資源の提供を得ている」と語った。
もちろん李佳琦や薇婭のような大物KOLも要所において活用するが、小型ではあるが日常的にライブ配信を行うことが消費者の目に触れ、EC商戦を有利に展開する下地となっている様である。
昨年の618~W11までの流れも同様であったが、618商戦で有効性を認められたマーケティング手法は、ダブルイレブンにおいて規模を拡大して展開されることが多い。
今後も中国のライブコマース、そして抖音、快手をはじめとするメディアプラットホーム(ショートビデオ以外でも)の動向には注視しておきたい。
株式会社トレンドExpressによる『2020年618商戦レポート ~W11を戦い抜くために~』は<こちら>からダウンロード可能となっている。