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2019年の国慶節シーズン、中国消費者が買った化粧品は? ~トレンドViewerで見てみよう~

今年も過ぎ去った中国における建国記念「国慶節」。今年はスタート前日の9月30日が月曜日だったこともあり、有給を活用して9連休を取った消費者もあったようす。

また事前のC-Tripの調査でも「日本」が海外旅行目的地として断トツの人気を誇っていたなど、インバウンド市場も盛り上がりを見せた。

では、この国慶節シーズン、中国の消費者は何を「買った」のか。トレンドViewerの「買った」ランキングからシーズン期間中のクチコミ件数をピックアップ、今回は「コスメ・美容」セグメントを中心にその様子を見てみよう。

■データ

中国のWeibo、Wechatパブリックアカウント、Blog、BBS上で「買った」というキーワードとともに呟かれた日本商品のクチコミ件数を週単位で集計。

-対象期間

2019年:9月25日~10月8日

2018年:9月26日~10月9日

各2週間

1年間で上位陣の入れ替わりも激化

国慶節シーズンは、ご存知のように中国国内での長期休暇。海外旅行だけではなく、国内旅行やリアル店舗、ECなどにおいても書き入れ時となる重要な期間。

しかも今年は建国70周年という、国を挙げての祝賀ムードが漂ったことで、中国国内の小売り・サービス業も多くのキャンペーンを展開し、中国消費者の消費熱を盛り上げていた。

 

SNSを見てみると同期間中の「買った」クチコミ総数は450,105件。昨年の348,115件に比べ、約30%の増加となっている。

【グラフ】国慶節シーズン「買った」クチコミ総数の対比

これを見ても、国慶節シーズンにおける中国消費者の消費意欲は昨年に衰えを見せていないことが見て取れる。

 

では何を買ったのか。

「買った」ランキング全体のTOP20を見てみよう。

2週間という短い期間の集計・比較であるのだが、前年と比べるとほぼ総入れ替えの状況となっている。

【表】2019年と2018年国慶節シーズン「買った」クチコミランキング

 

首位は昨年に引き続いて「薬用ローション(ももの葉)」(ピジョン)となった。

同商品は2018年を通じてもクチコミ件数トップ、またメーカーも「売り上げ好調」との発表しているほどの人気商品である。

しかし、2位以下に3位の「白い恋人」(石屋製菓)、8位の「口内炎パッチ大正A」(大正製薬)など、ごく一部を除いてはほぼ「総入れ替え」の様相。「今年の人気商品は来年人気とは限らない」という中国消費者の鉄則が見える。その中で首位を保っている「薬用ローション(ももの葉)」の凄さがわかると思う。

同商品の魅力は改めて分析してみたい。

 

また今年は「お菓子」を含めた食品が上位に見えている。日本のお土産の定番となっている「白い恋人」が3位に、乳幼児向けながら「おやつがいっぱい」がそれに続き、また9位にはなぜか「たけのこの里」がランクイン。

1年前には「白い恋人」1商品だけだったのだが、新たに2商品が加わっている。これにはやはり訪日観光の際に日本のコンビニやスーパーなどで多種多様な日本お菓子を目にし、興味を持ち、購入していることが関連していると思われる。

国慶節のコスメ・美容「買った」状況

では気になる「コスメ・美容」セグメントではどういった状況なのだろうか?2019年国慶節の上位25商品を見てみよう。

同セグメントには化粧水や乳液といった基礎化粧品のほか、ヘアケア、ボディケア、オーラルケアも含まれている。中国の現状を知るために、あえて細分化せず、全体像を俯瞰してみよう。

【表】2019年国慶節シーズン「買った」化粧品ランキングTOP25

これを見ると、やはりフェイスマスク類、そしてクレンジング類が比較的強いが、2位にヘアケア商品である「TSUBAKI」(資生堂)がランクインしていることが目を引く。

5月に行われた中国美容博覧会でもヘアケア商材の増加をレポートしたが、中国のヘアケアへのコダワリが高まっていることを感じさせる結果となった。


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これを昨年同時期の状況を比べてみよう。

【表】2019年上位25商品の2018年との対比

やはり上位陣「総入れ替え」の状況となっている。

例外となっているのは10位「スクワクレンジング」(HABA)。昨年の首位から10位へとランクを大きく落としているが、変化の激しい市場でTOP10を保っているのは評価に値する。

 

その状況をクチコミ件数の比較を行いながら見てみよう。

【グラフ】上位15商品クチコミ件数の対比。

これを見ると、上位陣はいずれも昨年に比べクチコミ件数が大きく増加していることが見て取れる。トップの「クリアターン プレミアム ロイヤルジュレマスク」に関しては3倍以上の伸びを示しており、その他の商品も倍以上の伸びを見せている商品がほとんどである。

 

しかしここでもHABAの「スクワクレンジング」は他と異なり、昨年の高いクチコミ件数を微増しつつ維持している。これはブランドチェンジの激しい中国市場でファン確保し続けている、ということにもつながっているように感じられる。

 

もちろん、夏休み中の「雪肌精」(コーセー)と「IPSA MEエクストラ4」(資生堂)のように、新しく台頭する人気商品に追い抜かれてしまうことは十分あるのだが、商品の固定ファンを確保しておけば、短期間の人気商品のようにクチコミが上昇したのちすぐに激減することもなく、市場に一定のシェア、ポジションを保つことができる。もちろんこうしたファン消費者とのつながりをマーケティング活動に活用し、機を見て更なる発展を考えることも可能だ。

 

そうした意味では、他商品に追い抜かれつつも、現状を維持できる同商品の強みは分析してみる価値があるだろう。もちろん、今後もそれを保っていけるかという点にも注目したい。


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国慶節消費からもみえる、尖った機能とファン化

さて、この上位5商品を見て気になったのは、それぞれの機能である。

 

「TSUBAKI」は上述の通りヘアケア商材、3位の「毛穴撫子 お米のマスク」は顔の毛穴収縮機能、4位に入った「コスメデコルテ AQ MW ラッシュ レボリューション」は高級化粧品シリーズのなかでも、まつげ美容液という商品。そして5位の「プレミアム毛穴角栓ジェル」はその名の通り、毛穴ケア商材といったように、非常に明確な個別の悩みを解決する

 

中国では日本の化粧水や乳液、エイジングケアなどが高い人気となっているのだが、これらの商品がうたう「美白」、「はり」、「保湿」といったキーワードは日本だけでなく欧米ブランドのほか、昨今は中国国内ブランドの台頭も目覚ましく、レッドオーシャンとなっている。

 

しかし、「毛穴洗浄に特化しました!」や「“まつげ”を美しくします!」といった、何かのポイントに特化し、その悩みを解決する商品は、日本企業に一日の長があるようで、中国消費者の興味が近年こうした特定の悩みを解決する日本商品へ向いている傾向を示している。

 

これらのように他社製品がマネできない特化型機能を訴求し、興味を引き、購入につなげることで、中国国内での認知度を高めることができる。

次の段階ではHABA「スクワクレンジング」のように、固定ファンを確保し、市場において確実なポジションを気づきあげる。

そしてそのファンが一定数固まり、コミュニケーションを密に取れるようになった時点で、次の市場拡大を計画する。

そんな中国市場攻略法が見えてくる。

 

しかしその道は容易ではない。

新商品が数多く登場し、かつそれらの情報がSNSを通じて高速で大量に飛び交う中国では、常に自社の情報を、消費者の求める形で発信し続け、かつその効果を検証して調整する必要がある。

 

「一発屋」に終わらぬためにも、中国消費者の声は常にチェックしておきたいところだ。