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あなたの「化粧台」見せてください!Vol.2~信頼できる化粧品情報の探し方

Text:配島亜希子

日本よりもワンランク厳しい目で化粧品をチェックしている中国の女性たち。そこで欠かせないのが普段の情報収集です。

今回は彼女たちが普段、どういったツールを使って情報を収集しているのか、そして彼女たちが「信頼」を置く・置かないの判断を下すポイントとは何なのかについて聞いてみました。

■今回ご協力いただいた方々

Aさん-28歳、大卒(上海)、未婚、月収11K、MICE系イベント会社勤務

Bさん-32歳、大卒(イギリス)、未婚、月収10K、コンサル会社勤務(アパレルトレンド講師)

Cさん-28歳、大卒(上海)、未婚、月収12K、リテール会社勤務

Dさん-33歳、大卒(上海)、未婚、月収13K、飲食企業勤務(デザイナー)

Eさん-36歳、大卒(日本)、既婚(子供1人)、月収11K、貿易会社勤務

情報は発信元よりも中身! 冷静な分析眼を持つ消費者たち

化粧品選びにシビアな目を持つ彼女たち、その判断基準となる情報源は何でしょうか? みなさん共通して「一番信頼できる情報は身近な友人のクチコミ評価」という意見でした。

「ブログやコスメサイト、ショッピングサイトへ寄せられたコメントなどはあくまで参考程度にとどめている」とはいえ、同時に幅広く情報を集めるためのツール活用も忘れいないようで、友人のクチコミのほか、「Weibo」、「WeChat」の公式アカウントやモーメンツ、「代購(ソーシャルバイヤー)」や、動画共有サイト「bilibili」、SNS型ECアプリ「小紅書(RED)」、そして「T-Mall(天猫)」のレビューコメントなど、中国国内のSNSやECプラットホームの名前が上がりましたが、同時に中国では本来使えない動画共有サイト「Youtube」の名前もあがりました。

 

インターネット社会である中国でも、普通の消費者と言えどネットツールには幅広い知識があります。そのため、一部の消費者はVPNなどを活用して海外の動画サイトからも情報を取得しているようです。

ブランドの広告と本気の口コミの見極め

では、日本では広く信頼されている雑誌やテレビ広告について伺うと、「雑誌やテレビ、屋外ポスターなどの広告は、ブランドイメージは形成されますが、情報源として信用はしないし、購買欲にも繋がりません」とイベント会社勤務のAさんは言います。

 

では、上述したようなネット上の情報源は信用できるのでしょうか?

彼女たちはネット上の情報も完全に信用しているというわけではなさそうです。溢れかえるKOLのブログやクチコミの中、どれがブランド企業の広告で、どれが一般消費者の素直な声なのかを見極めているのです。

 

例えば、「Weibo」を中心に情報を得ているというBさんは、中国国内でおこなわれているいわゆる「コスメ大賞」のようなコスメランキングは絶対に信じないとのこと。「1位にランクインした商品やそのコンテンツは企業の広告です」と、下位の内容のみを参考にしています。

小紅書(RED)のチェックの注意ポイントは?

日本でも注目が集まるコスメファンが集まるコミュニティとして高い人気を誇る「小紅書(RED)」はどうでしょうか?

ユーザー数は現在2億人以上、その90%近くが若い女性というこのアプリ、彼女たちのスマホにも漏れなくインストールされています。

 

しかし、今回聞かれたのは「広告が多すぎる」という声。

以前はほとんどの投稿が一般ユーザーによるもので、メイクや購入の際の参考にしていたのですが、最近は芸能人やKOLがブランド企業と提携して、商品をプロモーションする投稿が増加し、やや「うんざりする」という声も。

 

さらに「内容があまりに詳細すぎるのは広告」と言います。

例えば、化粧品の成分にまで触れて商品をレコメンドするような投稿は、KOLがブランド企業から請け負った広告だと判断する中国人は少なくありません。広告と感じた瞬間に冷めて引いていくのは相変わらずのようです。

 

中国ではSNSやコミュニティサイト、動画サイトなどを通じて商品を販売するマーケティング手法に、誰もが参画している時代です。

マーケティングツールやKOLを組織的に束ねるMCN(マルチチャンネルネットワーク)が続々と登場し、元々は単純な口コミSNSだったアプリがマーケティングプラットフォームへと変化したケースは少なくありません。その代表格がWeiboと言えるでしょう。

「小紅書(RED)」においてもその傾向は感じながら、一般ユーザーによる投稿や口コミを見極め、使用法やメイク法を参考しているとのこと。

化粧品選びに成分データチェックは不可欠

さて、情報を選ぶポイントを聞いた後は、商品そのもののチェックについて聞いてみました。

取材で聞かれたのは「保湿や肌の弾力など即効性の効果が実感できる」、「使用感が良い」、「自分の肌に合っている」、「コスパが良い」、「安全性」など、想定内の答えが返ってきました。

同時に「アンチエイジング効果が高い」とアラサーならではのポイントがあります。アレルギーを持つAさんや敏感肌のDさんは、「肌荒れしない」、「吹き出物ができない」という点がマストだそうです。

敏感肌に悩むDさんの化粧台

しかし、今回、「絶対に欠かせない」と言われたチェックポイントが「成分データ」。

 

日本でもアレルギーや敏感肌の女性にとって成分の確認は必須となっていますが、それ以外の女性で細かく化粧品の成分表をチェックしている人はいないのではないでしょうか?

しかし、中国では多くの女性が購入時に成分確認をしているのです。

 

ブランドから提示される成分一覧はもちろん、コスメ関連や成分データのサイトで真実を確認したり、皮膚科のドクターや医療美容系KOLのブログなどをチェックしたりして常に気をかけているとのこと。いかに慎重に選んでいるかが分かります。

試用してから購入したい、その方法とは?

このように慎重に慎重を重ねて選んでいる化粧品。いくら高評価でも、他人が使って効果があったとしても、化粧品は自分の肌に合うかどうか、似合うかどうかが判断基準。実際に試してみないことには分かりませんね。

高級ブランドならなおのこと。スキンケア化粧品は、コスメカウンターでちょこっと付けてみた程度では効果は測れません。身近な友人の口コミなら期待できるかもしれませんが、できることならテストをして、確実によいモノを購入するのが理想。

 

Dさんの場合、いつも使っている化粧品がもうすぐ無くなりそうな頃、ショッピングセンターにあるそのブランドのコスメカウンターへ行き、お目当ての商品を購入するついでに、新商品やほかのアイテムのサンプルをもらうそうです。時間があれば、隣のブランドも見て回って無料サンプルをもらうことも。

 

しかし、中国のリアル店舗では、アパレルブランドなどで店員さんが「とにかく売ろう!」と押し売りに近いプレッシャーをかけてくることもあります。

コスメカウンターでも同様に「BA(ビューティーアドバイザー)の「買って」という圧力が怖い」と感じることもあるようです。

 

そんなプレッシャーをかけてくるBAが苦手なEさんは「以前は別の方法を利用していました」と教えてくれました。

それは「Taobaoで、小分け販売しているファンデーションや口紅を買う」ということ。

 

Taobaoなどでは、有名高級ブランドの化粧品を売り手自身で小分けにし、小さな容器に入れて販売していました。例えばある人気高級ブランドのファンデーションが欲しいけど、どの色が似合うのか分からない。価格も日本円で1万円を超える商品で、買って試すのは気が引ける…というような時、各カラー0.5gづつ、各400円くらいで販売する業者がいるのです。

 

もちろん、小分け販売は日本と同様、中国でも違法行為。

2016年に中国の化粧品監督管理条例で禁止されていますし、Taobaoもその法律を受けて2017年に販売禁止をはっきりと訴えています。

定期的な取り締りが行われてはいるものの、売り手数が莫大なため、管理しきれず、未だに一部の業者が残ってしまっているのです。

 

コスメの場合は中国のAI技術の発展で、実際に試さなくても似合う・似合わないの判断ができるようになりつつありますが、実際の使用感や効果を体感が必要な基礎化粧品やベースメイクは、体験する場が少ないようです。

 

こうした悩みをメーカー、小売り主導で解決するサービスが提供できれば、こうした違法業者を追いやるほか、中国でのブランディングに役だつのではないでしょうか。