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上海働く女性が語るアパレルショッピング~Taobaoの賢い使い方~

上海でますます活躍の幅を広げる「働く女性」。気になるのはこうしたキャリアの消費動向です。

そこで、婦人節特集にご協力いただいた女性たちに、普段のお買い物、特にアパレルファッションとコスメの購入状況について聞いてみました。今回はまず「働く女性のアパレル購入法」から見ていきましょう。


リアル店舗はショールーム?街やAPPでコーデ情報→Taobaoへ

さて、今回お話を聞いたのは多くがお仕事をしている女性。職業も小学校の先生から外資系勤務、ファッション業界、IT業界など様々です。こうした女性たちは普段のファッションをどのように買っているのでしょうか?「オフィスでのファッション」について、その購入先からお話を聞いてみました。

 

当然の如くほぼすべての女性から「Taobao」でという回答。

すでに中国消費者の購入場所が「ネット上」になっているのは周知の事実。こうしたTaobao上のブランドショップは、女性たちにとっても「優先購入先」となっています。

 

とはいうものの、ただ買うのではなく、その買い方にも特徴が。

「リアル店舗のショーウィンドーで展示されるコーデを覚えて、Taobaoで似たような服を探す」と話すのは IT関連会社で働くAmandaさん。

百貨店やショッピングモールなどのリアル店舗は、買い物よりも映画や食事といった使い道が多いようですが、時折リアル店舗の方が安い場合もあるらしく、「そうした時はリアル店舗で購入」(Amandaさん)と、リサーチしながらのショッピングをしている様子。

 

また、プログラマーのTutuさんは「ショーウィンドー、小紅書(RED)、あと最近はドゥイン(TikTok本家版)で好きなコーデを見つけてTaobaoで購入」という流れを取っているそうです。

 

つまり、「Taobaoで気に入ったものをゼロから探す」のではなく、APP上のコーディネート情報やリアル店舗における商品の展示から商品情報を入手し、それをもとにTaobaoでキーワード検索をかけて見つけているという方法が主流になっているようです。

アパレル選びは「デザイン>ブランド」。試着は「家で!」

ただTaobaoと言っても、アパレルの場合「ブランドの旗艦店」ではなく、多くがブランドとは関係のないTaobao店舗を活用している様子。

正規ブランドと違って品質などに不安があるのでは…と思うのですが、そこは賢い中国の消費者。ここでも上手な使い方が見られます。

「最初は5店舗ぐらい絞ったが、品質の理由もあってだんだん自分好みの店舗を1店舗に決めた。今はほぼ全ての服をこのTaobao店舗でしか買わない。毎月新商品のお知らせが来るので、その都度チェックしている」と、買い物の中で徐々に自分に合ったTaobao店舗を絞り込んでいくという形式。

最初は検索などで見つけた複数の店舗を利用してみて、そこから自分のお気に入りを「行きつけのお店」としているのです。

「私も行きつけのTaobao店舗がある」とURLをシェアしてくれたのはフリーランサーのAmaoさん。

 

その理由については

  • リアル店舗に足を運ぶ場合、交通費がかかる
  • ダブルイレブンや婦人節などのキャンペーンは保証付きなので、返品も楽

と、まず気に入った商品を全部買って、「商品が届いたら試着。気に入らなかった気軽に返品。こちらの方が効率がいい」(Amaoさん)と、非常に賢く活用している様子。

同じ方法を行っている女性も少なくなく、プログラマーのTutuさんは「家で試着すれば、自分に合うかをじっくり考えられる。お店で試着して気に入らなかったときに店員に返すときの気まずさもないし」と、ネットだからこそ自分に似合うものを探すことのできる手軽さを語ってくれました。

 

このように話を聞いていると、ブランドではなく「見た目」で選んでいる感のある中国の女性たち。お気に入りのブランドなどはあまりないのでしょうか?

 

ファッション業界にたずさわるLuciaさんは「自社の服以外ならZara。欧米系のかっこいいデザインが好きなので」と語り、また小学校2年生の娘を持つ、外資系企業勤めのOlgaさんは「ユニクロでも買うけど、他の人とかぶったら嫌なので、家の近くにある服の輸入店で買うことも。あそこだと基本一つのデザインは1~2セットしかないので、他とかぶる心配がないのです」と話します。

普段のアパレルブランドとしてはZaraやユニクロといったファストファッションを買う傾向がありながら、「みんな買っているもの」ではなく、「自分の服」を「安く」、「手軽に購入したい」という意識をうかがう事ができます。

 

そうしたニーズを満たすのがTaobao、それもブランド旗艦店ではなく、もっと身近な小型の店舗なのかもしれません。

世界の工場であったからこその消費習慣~Taobao普及の裏側~

上海や北京などの一線都市を歩いてみると、一昔前に比べてずいぶんと「オシャレ」になったと感じます。メイクもさることながら、着ているアパレルファッションにおいてもこなれてきた印象を感じます。

その背景にあるのは中国のインターネット、それに続くSNSの発展に伴い、中国国内だけではなく海外のファッション情報を驚くべき早さで得られるようになったこと。

情報量の増加によって参考にするコーディネートが増え、より高いオシャレ度を追求することができるようになったためです。

 

しかし、普段の購入においてはやはりTaobao。

その理由には中国がかつて「世界の工場」であったことが関係しています。

80年代から90年代、中国は世界の製造拠点として、多くの製造業が進出しましたが、その中核を占めたのがアパレル産業でした。

上海や浙江省などではアパレル産業の集積地として紡績、捺染、縫製といったアパレルに関するほぼすべての工場がそろっており、海外ブランド製品の生産を請け負っていたのです。

現在ではこうした会社から「中国国内ブランド」も多く登場しており、上記のZaraやユニクロ、H&Mなどのファストファッションと苛烈な市場競争を展開しているのです。

 

同時に、こうしたアパレル産業集積地の消費者にとっては、アパレル生産は非常に身近な存在。「家族の誰か1人はアパレル製造関連の仕事をしていた」といった話もよく聞きます。

そんな中国の消費者からすると、百貨店などで買うよりも、こうした工場から買った方が安い(店頭で売られているものと品質格差も少ない)という意識があり、製造業側から見ても、こうした消費者に売ったほうが儲けが大きいという現状があります。

 

それを可能したのがTaobaoなのです。

2004年に登場したTaobaoは瞬く間に中国消費者に広がり、浸透し、現在もなお中国アパレルにおける重要な商品販売チャネルとなっています。

 

中国でのアパレル展開には、こうした中国独特の事情を考慮し、それに負けないブランディングを行っていく必要があるでしょう。

 

次回は上海女性のコスメ事情についてインタビューをもとにお届けします。