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変わりゆく中国市場で勝つためのマーケティングとは?後編 ~2019年に考えるべきこととは?~

相変わらず変化の激しい中国市場に対して、2019年のプロモーショントレンドを探るセミナー「2019年を大予測!中国マーケティングの潮流とこれから」。

前回は同セミナーにおける前半戦、2018年の振り返りを見ていきました。モバイル化、EC商戦の苛烈化といったキーワードがうかびましたが、今回はそれらの状況を踏まえつつ、2019年の中国社会動向とプロモーショントレンドについて語っていきました。

前回に引き続きセミナー内容を見ていきましょう。


中国の消費は減退するのか?

最近よく聞かれるのが、中国経済の減退によって、対中ビジネスが伸び悩むのではないか、という懸念です。しかし一言で表せば、「中国は消費が低下しているのではなく、伸び率が低下している」ということになります。

 

今まで、中国は年10%もの成長率でここ10年ひた走ってきました。それが今年度予測は6.2%と、確かに過去に比べて成長率は下がりました。

しかし、対して日本の成長率は1.1%、アメリカでさえ2.5%です。中国の6.2%は、インドの7.7%に次いで第2位の成長率を誇り、世界の中で比べれば、圧倒的に高い成長率を誇っているのです。

そもそも、中国は600兆円の巨大消費市場です。日本と比べても圧倒的に大きい。この巨大市場が年間6%以上伸びていく、という事実を重視しなければなりません。

この魅力的な市場を、世界中が狙っています。ここで日本企業が中国消費は減退するのか、と躊躇してしまえば、その間に世界の競合に市場を取られてしまいます。

 

現在、中国で人気があると言われている日本ブランドでも認知度は都市部に偏っており、地方までは名前が及んでおらず、この巨大市場での日本ブランドへのマインドシェアは、決して高いとは言えません。

中長期的に見ても、中国へ日本企業を認知させるための投資は必須となるでしょう。

世界の強豪がひしめく中国市場。これからの狙いめは?

現在の中国における消費の中心は80後、90後と呼ばれる20~30代の若者です。

昨年のW11においては、天猫での購入者の実に46%が90後(18~28歳)でした。

高齢者は自分より家族のためにお金を使いたい傾向が強く、自分のために買物が出来る単身者の若者が、消費の中心となっているようです。

 

中国進出、というと北京や上海などの一線都市を思い浮かべやすいのですが、実は都心部は家賃など生活費の高騰により、可処分所得で考えると二線都市の方が消費意欲が旺盛なことがあります。

また、近年言われている「コト消費」への移行に関しては、一線都市は顕著ですが、二線都市の場合はまだまだ「モノ消費」が強いというデータもあります。自社の商品が体験を売るものなのか、それとも物品を買ってもらうものなのかによって、進出する都市を選ぶことも戦略のひとつです。

まとめ:2019年、有効なプロモーション対策は?

こうした二線都市市場へと波及している中国の購買欲。それに向けて多種多様な商戦が展開されていますが、2019年もこれら大型商戦の規模は伸び続けると予測されます。

しかし、その分企業間の競争は激化していくと考えられます。既にW11などは、その期間だけ広告を打っても売れない、ということが起こり始めています。

では2019年に有効な施策はどのようなものか?まとめると、以下のようになります。

  1. 芸能人×バイヤーの口コミ拡散
  2. インサイト発掘×Buzzコンテンツ×拡散
  3. オフライン×デジタル拡散
  4. ソーシャルチェーンを活用したマルチチャネル施策
  5. 継続ブランディングと販促プロモーションの両立

日本で人気なのに中国では知名度がない、という場合は、予算はかかりますが中国のトップ芸能人を広告に起用して話題性を生むという戦略もひとつです。

予算が限られている場合は、中国人消費者のインサイトに沿ったこまめな戦略が有効です。データ解析から中国人消費者に「刺さる」ブランディングと、バズるコンテンツを拡散させることで認知を高めていく必要があります。

では拡散させるために何が必要かと言えば、4つ目に挙げたマルチチャネル施策です。今の時代、消費者はひとつのSNSしかやっていないということはありません。複数のSNSから情報を得ています。多角的にメディア拡散させることで、何度も目にする、どこのSNSでも話題になっている、という信頼感が上がるのです。

中国ECの競争が激化していく中でも、こうした平時のブランディングと、商戦期の販促プロモーションとを分けて考え、それぞれに適切な戦略を打つことが重要です。

2019年も中国市場は成長を続け、その中で日本商品へのニーズは決して小さくありません。この好機をしっかりと捉え、それに対応していくことが出来れば、日本企業としても大きく成長できるのではないでしょうか。