【訪日中国人】 桜の開花情報もアプリでチェック 中国人お花見インバウンド情報収集を分析
日を追うごとに春への予感が高まる日本。そんな日本の情報を常にチェックしているのが「お花見に行きたい!」中国の消費者たちです。日本の桜も開花から散るまでわずか2週間程度とはかないモノ。その見ごろのタイミングを計るためにも、重要になってくるのが情報収集です。
今回はクチコミ調査に加えて、上海での現地取材で得た情報も含め、中国消費者のお花見情報収集方法を分析します。
■調査内容
2017年と2018年の2年分の以下のキーワードによる書き込みを収集し、分析。
- 花見
- 花見×行きたい
- 花見×日本×どこ
- 花見×いつ
- 花見×日本×いくら
- 花見×攻略
- 花見×注意
- 「お花見×日本」のポジネガ
▼前回までの記事は
【訪日中国人】 日韓「お花見誘致」バトル開始か? 今年もやって来る、お花見ニーズ
【訪日中国人】中国観光客のお花見ニーズをクチコミ分析!~今年も起こるか「爆花見」~
【訪日中国人】中国お花見インバウンド人気スポット分析 ~桜を求めてどこまでも
情報収集はウェブサイトからアプリへ
2018年は開花が例年より早く、4月に日本を訪れた訪日中国人からは「散ってた…」といった嘆きの声がSNS上に多く見られました。
咲き乱れる時間がはかなく、限られるからこそ美しい桜。昨年のようにそれを見逃さないためにも、中国消費者たちは春節ごろから情報を収集。日本の気象庁の開花予測などが、Weibo、Wechatなどで転載されているのが確認できます。
今回の「お花見ニーズ」調査では、そんな中国消費者の「お花見情報収集ツール」についても確認してみました。
その結果がこちら。
【グラフ】お花見情報の収集
これを見ると2017年と2018年で大きな変化が見られます。
2017年では「Webサイト」からの情報取得が全体の3割程度、次いで多かったのが「友人」で、2割強となっていました。
しかし2018年のデータを見ていると、「アプリ」経由が全体の35%と急拡大。「Webサイト」も「友人」も、一気に比率を減らしています。
この背景にあるのは、「携程(C-Trip)」といった旅行予約サイトのアプリ版が、旅行情報の発信も強化している点。
もうひとつは、旅行の実体験情報を取得できるアプリが広がっている点。これら2つが理由になります。
こうした、旅行情報の取り方について、上海の消費者にお話を聞いてきました。
「攻略」~クチコミCheck。現地取材で見た訪日観光情報の拾い方
中国消費者が使っている旅行収集の第一歩となっているのが旅行サイトのアプリです。
中国の旅行情報専門サイトと言えば前述の「携程(C-Trip)」のほか、「驢媽媽」、「螞蜂ヲー」、「窮游」など、数多くのサイトがアプリを含めて展開しています。
中国の主な旅行サイト
こうした旅行アプリ(サイト)は、パッケージツアーの企画販売、航空機や鉄道のチケット手配、ホテル予約などが主な収入源ですが、近年は「攻略」と呼ばれる、観光地情報の発信に力を入れています。
これは目的地の観光スポットの効率のいい回り方、入場チケットの買い方、アクセスなどが紹介されているもので、まさに観光地を遊びつくすための攻略情報なのです。
なかにはそのルートを実際に回ったユーザーの体験などがアップされていることもあり、上海で働く30代の女性は「初めて行く場所に関してはまず“攻略”をチェック」というほど、観光地の楽しみ方を知る非常に有益な情報源となっています。
しかし、そこで満足しないのが中国の消費者。彼らが頼りにしているもう一つのアプリが、ご存知「小紅書(RED)」なのです。
小紅書は一般ユーザーによる情報共有アプリ。
ここで確認するのは「実際はどうなの?」(20代後半女性)という情報。
彼らからすれば、旅行アプリは結局、旅行(ツアー)を売るのが仕事。だから攻略情報で消費者を旅行に行かせようとしている→つまり、この情報にも「いい」と書いてあるに決まっている、という思考があります。実際の「いい・悪い」の情報を確認するために、企業利益とは全く縁のない人たちの純粋なクチコミで事実確認する習慣がついているのです。
そのツールとなっているのが小紅書。使い方としては「まず知りたい内容、キーワード(観光地、桜の名所など)で検索」→「出てきた件数を確認」、「上から順に内容を見ていく」という流れで行い、記事での感想や評価を調べているのです。
まずチェックするのは記事の「数」だそうで、どのくらいの人が使っている・行っているかで、そのスポットなどの人気度合いを図っているそう。ちなみに、今流行りのKOL情報はどうかと言えば、「検索の結果、KOLが発信する記事などが見つかるけど、その場合は下のフォロワーの書き込みも一緒に見てますね~。」(20代後半女性)とのこと。KOLの投稿内容に対して、フォロワーの中で実際に行った・使った人の書き込みやフォロワーからの質問内容&KOLの回答までをきっちりチェックしているという消費者もいました。
小紅書で「桜×日本」で検索した結果(筆者携帯画面キャプチャ)
お花見だけではなく、旅行、中でも海外旅行のための情報収集に念には念を入れている様子。その理由について、取材対象者の回答がすべてを物語っています。
「だって、お金と時間をかけていくんだから、行って後悔したくないじゃない。そのためには、本当に行った人の素直な感想の方が参考になるんだもの。」(30代前半女性)
今年の春は、その努力が報われたお花見を楽しんでもらえることを願ってやみません。