【特集】キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(1) ~2017年第一四半期のマーケット規模~
先月発表された日銀レポートによると、モバイル決済利用率は日本が6%、米国が5.3%、そして中国はなんと98.3%と驚くべき数値となっているそうです。
日本でもアリペイやWeChat Payに対応する店舗が増えていることが報じられており、インバウンド市場においてモバイル決済への対応拡大がますます期待されるところではないでしょうか。
今回の特集では、決済事情に関する統計や最新情報をまとめるとともに、お金の使い方における地域特性を新浪微博で探ってみたいと思います。
参考:
モバイル決済利用率は日本6%、米国5.3%、そして中国では98.3%――日銀レポート
世界一から後進国に… 日本のスマホ決済、爆発的普及の中国に大差つけられた理由 (1/5ページ)
露店に拡大、無人コンビニも 中国で急伸、スマホ決済
中国で現金はいらない——屋台も市場もタクシーも支払いはウィーチャット
取引額で見るモバイル決済市場規模
中国の分析会社「易観」が今年5月に発表した『2017年第一四半期中国モバイル決済観測レポート』によれば、モバイル決済の市場規模は18兆8,091億2000万元、前値同期比46.78%増となりました。
参考:2017年第一四半期中国モバイル決済観測レポート(出典:易観) 中国語
2016年第一四半期~2017年第一四半期の中国第三者決済モバイル決済市場の取引額規模
中国の2017年第一四半期の中国の消費小売総額は約8.5兆元であり、モバイル決済の市場の大きさが見て取れるのではないでしょうか。
※消費小売り総額は1~2月は5兆7960億元、3月は2兆7864億元として計算
参考:
1~2月国民経済(出典:中華人民共和国国家統計局) 中国語
3月社会消費小売り総額10.9%増(出典:中華人民共和国国家統計局) 中国語
決済サービスのシェアを取引額とユーザー数から確認
ではどのような決済サービスが利用されているのでしょうか。まずは取引額ベースのシェアです。
取引額ベースでみる各モバイル決済のシェア
1 | アリペイ | 53.7% |
2 | テンセント金融 | 39.51% |
3 | 壹ウォレット | 1.76% |
4 | 連連ペイ | 0.76% |
5 | 聯動優勢 | 0.76% |
6 | 易宝 | 0.6% |
7 | 快銭 | 0.53% |
8 | 百度ウォレット | 0.36% |
9 | その他 | 2.02% |
アリペイはタオバオを運営するアリババ・グループの「アントフィナンシャル」による第三者決済サービスです。水色がアプリのカラーになっており、最近日本のドラッグストア、そして日本国内のローソン全店舗で導入されたため、アリペイ用のQRコードを目にしたことのある方も少なくないのではないでしょうか。ECサイトの「タオバオ」での支払いにはこちらの決済サービスが利用できます。
二位にランクインしたテンセント金融はSNS「微信(WeChat)」「QQ」でのモバイル決済の総額と考えられます。(テンセントのSNSの決済サービスの運営会社は「財付通」ですがこのレポートでは「テンセント金融」と表記されています)
4位にランクインしている連連ペイは「分割払」をサービスラインナップに登場させ、その利用額を増加させています。分割払いのほか資産運用のサービスでビジネスユーザー数及び取引額の増加に成功し、さらにはリアルタイムの支払いサービスが奏功し第4位という結果になっています。
参考:驚きのデータ! テンセントがWeChatデータを公表、ユーザー数は8.9億に!(出典:捜狐)中国語
ユーザー数でみる各モバイル決済のシェア
それでは次に「アクティブユーザー数」による企業別シェアです。
1 | テンセント金融 | 8億4126.3万人 |
2 | アリペイ | 4億9197.9万 |
3 | 百度ウォレット | 6821.4万 |
4 | 翼支付 | 1813.3万人 |
5 | 京東ウォレット | 761.5万人 |
ユーザー数では、取引額と逆転しチャットアプリのWeChatそしてQQを有するテンセントの第三者決済会社と思われる「テンセント金融」が上回りました。2017年3月の発表ではWeChatの月間アクティブユーザー数は8.89億人となっているので、当然の結果かもしれません。
アリペイは取引額ベースでテンセント金融を上回った理由は、アリペイを運営するアントフィナンシャルがアリババ・グループの企業であり、アリババの運営する中国最大と言われているECプラットフォームのタオバオそしてTmall(天猫)でアリペイが利用されていることが影響しているのかもしれません。
WeChatPayは、現在盛り上がり続けているシェアサイクルの支払いなど主にオフラインのサービスでの支払いに利用されていたり、あるいは春節期間に盛り上がるような「紅包」を親戚・友人へ送るといった習慣に利用されたりと、ECサイトでの買い物に比べると利用単価が低いということも考えられます。
また易観の分析によれば、百度ウォレットはフードデリバリーのサービスや出張、団体購入といったシーンのほか、特に医療分野、教育分野といったモバイル決済がまだ浸透しきっていないシーンへの進出に力を入れており、これにより新規ユーザーの獲得に成功しているそうです。百度ウォレットはこのほか、2017年の第一クオーターではモバイル決済による資産運用や預金・貸付の機能追加のように、金融方面の機能を増加していると伝えられています。
2017年最新の市場概観がわかったところで、続いては中国での2大モバイル決済のWeChatPayそしてアリペイの、決済時の手順と支払いの仕組みについてみてみます。以下のリンクからご覧ください。
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キャッシュレス時代を読み解く!中国モバイル決済基礎&最新事情(2)~いまさら聞けないWeChatPay&アリペイの仕組み~